フライフィッシング初心者の課題① クローズド・ループ
前回、毛糸の長さを変えることでキャストのタイミングや力、そして感覚は変わるということを体験してもらいました。
(このステップを実践されていない方は、試してからこの回を読んで頂くとより深く理解できると思います。)
具体的には、毛糸の長さを2倍にしてキャストしたわけですが、その時あなたのループにどのような変化が起こりましたか?
もとの70cmの長さでキャストしていた時と何ら変わらなかったという人は、毛糸を長くしてもその長さに合ったタイミングと力でキャストできていたということです。
一方、ループの形が変わってしまったという人はどのように変わってしまったのでしょうか?
恐らく、毛糸の先端が閉じてしまった(下に垂れ下がった)のではないでしょうか?
フライフィッシングをはじめたばかりの人が、必要以上にラインを伸ばそうとしてできてしまうのがこのクローズド・ループ(テイリング・ループ)です。前回はその状況を意図して作ってみたわけです。
実は、このクローズド・ループ自体に良し悪しはありません。
例えば、渓流など流れのある場所でフライフィッシングをする時、クローズド・ループを上手に利用してキャストすれば魚を釣るチャンスを増やすことができるのです。
しかし、自分の意思で扱わないとライン同士が絡むなどトラブルが頻発する厄介なループでもあります。
ここではフライキャスティングをはじめたばかりの人が図らずも作ってしまうことの多いループ、クローズド・ループとそのコントロール方法についてご説明します。
a.クローズド・ループとは
クローズド・ループとは、文字通り(ラインの先端が)閉じられたループのことです。このループができるのは、ラインの長さに対してキャストが力不足のとき(ラインに力を十分載せていない、あるいは、載せられていないとき)です。
ラインに力が十分伝わっていないため、ループに推進力が生まれず、結果としてライン先端が下に垂れ下がるのです。
を押すと動画が見られます。
そこで、このループを通常の(閉じても開いてもない)ループに戻すには、力はそのままでラインの長さを短くするか、ラインに伝える力を増やすかのどちらかになります。
クローズド・ループが自分の意思に反してできてしまっている場合、ラインの長さを短くすれば大概ループは閉じなくなり(下に垂れ下がらなくなり)ます。
難しいのは、そのような場合にラインの長さを維持したまま(変えずに)どのようにクローズド・ループを克服するかです。
b.クローズド・ループのコントロール
クローズド・ループをコントロールするための鍵は、
「ラインをいかに長く引けるか。」と「ラインをいかに強く返せるか。」
にあります。
ラインの長さを長くしたからには、引く距離も長く取らなければラインは真っ直ぐに伸びきってくれません。
ロッドを使わないこの上達法では、文字通り全身を使った運動になります。上半身だけでなく、下半身も柔軟に使い、ライン(毛糸)を引いてみましょう。前後に体をタイミングよく動かすことがポイントです。
これは、素手で行なうキャスティング練習だけに限った特殊な練習ではありません。ロッドを使ってキャスティングの距離を競うトーナメント・キャストでは、まさにこの全身を使ったキャストをしています。それは、人がロッドの延長として機能している証拠です。
通常の釣りでは、ここまで全身を使ったキャストは必要とされませんが、湖や海で遠投する場合は、やはりそれなりに全身を使ってキャスティングを行います。
しかし、いかに全身を使って毛糸を長く引いたとしても、前後のキャストとも手首を力強く返さなければ毛糸に力は伝わっていきません。
そこでお勧めするのが、鉄アレイを使った練習です。
練習の目的
○手首の可動域を広げること
○手首を力強く振れるようにすること
素手で行うキャスティング練習ではフライ・ロッドもフライ・ラインも使っていません。
とても軽い素材「毛糸」を使うことで、力を伝えるという非常に繊細な感覚を養うことができます。
しかし、実際のキャスティングに必要な筋力を付けるという点では不十分でもありました。そこで、この欠点を補うために鉄アレイの重さを借ります。
約500gの負荷を掛けることで、手首をより大きく曲げられるようになり、手首と腕に筋力を付けることができるのです。
練習方法
今までと全く変わりません。重さ500gの鉄アレイをサムオントップの握り方で持ち、フォルス・キャストの動作をしてみましょう。
コツはしっかりと手首を返す(振りきる)という点です。自分の手首と相談しながら振りを大きくしていきます。
また、色々な角度で振ってみたり、手首を時計回りや反時計回りに動かすことでも手首を柔らかくすることができるでしょう。
手首と腕に筋力を付け、手首をより深く曲げられるようになれば、より大きく、そして力強く手首を振ることができるようになるのです。
を押すと動画が見られます。
※注意※
この練習は、周りに人や物がない場所で行いましょう。また、力任せに振ったり、長時間続けて振ることは怪我や手首などを痛める原因となります。ゆっくりと自分のペースで行って下さい。
※警告※
上記を守らず何か行ってしまったとしても責任は取れませんのでご注意下さい
。
以上、クローズド・ループができる要因を知りその解消方法が分かれば、ラインの長さに関わらずこのループを使うか使わないかを自分で決められるようになります。
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(このステップを実践されていない方は、試してからこの回を読んで頂くとより深く理解できると思います。)
具体的には、毛糸の長さを2倍にしてキャストしたわけですが、その時あなたのループにどのような変化が起こりましたか?
もとの70cmの長さでキャストしていた時と何ら変わらなかったという人は、毛糸を長くしてもその長さに合ったタイミングと力でキャストできていたということです。
一方、ループの形が変わってしまったという人はどのように変わってしまったのでしょうか?
恐らく、毛糸の先端が閉じてしまった(下に垂れ下がった)のではないでしょうか?
フライフィッシングをはじめたばかりの人が、必要以上にラインを伸ばそうとしてできてしまうのがこのクローズド・ループ(テイリング・ループ)です。前回はその状況を意図して作ってみたわけです。
実は、このクローズド・ループ自体に良し悪しはありません。

例えば、渓流など流れのある場所でフライフィッシングをする時、クローズド・ループを上手に利用してキャストすれば魚を釣るチャンスを増やすことができるのです。
しかし、自分の意思で扱わないとライン同士が絡むなどトラブルが頻発する厄介なループでもあります。
ここではフライキャスティングをはじめたばかりの人が図らずも作ってしまうことの多いループ、クローズド・ループとそのコントロール方法についてご説明します。
a.クローズド・ループとは
クローズド・ループとは、文字通り(ラインの先端が)閉じられたループのことです。このループができるのは、ラインの長さに対してキャストが力不足のとき(ラインに力を十分載せていない、あるいは、載せられていないとき)です。
ラインに力が十分伝わっていないため、ループに推進力が生まれず、結果としてライン先端が下に垂れ下がるのです。

そこで、このループを通常の(閉じても開いてもない)ループに戻すには、力はそのままでラインの長さを短くするか、ラインに伝える力を増やすかのどちらかになります。
クローズド・ループが自分の意思に反してできてしまっている場合、ラインの長さを短くすれば大概ループは閉じなくなり(下に垂れ下がらなくなり)ます。
難しいのは、そのような場合にラインの長さを維持したまま(変えずに)どのようにクローズド・ループを克服するかです。
b.クローズド・ループのコントロール
クローズド・ループをコントロールするための鍵は、
「ラインをいかに長く引けるか。」と「ラインをいかに強く返せるか。」
にあります。
ラインの長さを長くしたからには、引く距離も長く取らなければラインは真っ直ぐに伸びきってくれません。
ロッドを使わないこの上達法では、文字通り全身を使った運動になります。上半身だけでなく、下半身も柔軟に使い、ライン(毛糸)を引いてみましょう。前後に体をタイミングよく動かすことがポイントです。
これは、素手で行なうキャスティング練習だけに限った特殊な練習ではありません。ロッドを使ってキャスティングの距離を競うトーナメント・キャストでは、まさにこの全身を使ったキャストをしています。それは、人がロッドの延長として機能している証拠です。
通常の釣りでは、ここまで全身を使ったキャストは必要とされませんが、湖や海で遠投する場合は、やはりそれなりに全身を使ってキャスティングを行います。
しかし、いかに全身を使って毛糸を長く引いたとしても、前後のキャストとも手首を力強く返さなければ毛糸に力は伝わっていきません。
そこでお勧めするのが、鉄アレイを使った練習です。
練習の目的
○手首の可動域を広げること
○手首を力強く振れるようにすること
素手で行うキャスティング練習ではフライ・ロッドもフライ・ラインも使っていません。
とても軽い素材「毛糸」を使うことで、力を伝えるという非常に繊細な感覚を養うことができます。
しかし、実際のキャスティングに必要な筋力を付けるという点では不十分でもありました。そこで、この欠点を補うために鉄アレイの重さを借ります。
約500gの負荷を掛けることで、手首をより大きく曲げられるようになり、手首と腕に筋力を付けることができるのです。
練習方法
今までと全く変わりません。重さ500gの鉄アレイをサムオントップの握り方で持ち、フォルス・キャストの動作をしてみましょう。
コツはしっかりと手首を返す(振りきる)という点です。自分の手首と相談しながら振りを大きくしていきます。
また、色々な角度で振ってみたり、手首を時計回りや反時計回りに動かすことでも手首を柔らかくすることができるでしょう。
手首と腕に筋力を付け、手首をより深く曲げられるようになれば、より大きく、そして力強く手首を振ることができるようになるのです。

※注意※
この練習は、周りに人や物がない場所で行いましょう。また、力任せに振ったり、長時間続けて振ることは怪我や手首などを痛める原因となります。ゆっくりと自分のペースで行って下さい。
※警告※
上記を守らず何か行ってしまったとしても責任は取れませんのでご注意下さい

以上、クローズド・ループができる要因を知りその解消方法が分かれば、ラインの長さに関わらずこのループを使うか使わないかを自分で決められるようになります。
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